「上陸特別許可」とは、日本に入国しようとする外国人がかつて犯罪を犯したことがあるケースなど、入管法7条1項各号の上陸条件に適合しない場合に、法務大臣が裁量によって、特別に許可すべき事情があるとして上陸の許可を与える制度を指します。
目次
上陸特別許可を受けられる主なケース
上陸条件に適合しない場合であっても、上陸特別許可を受けることの可能な主なケースは次のとおりです。
下記に該当する場合であれば、上陸特別許可を受けられる可能性が高いです。
- 外国人が再入国許可を受けているとき
- 外国人が人身取引などによって他人の支配下に置かれ、日本に入国した者であるとき
- その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があるとき
その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるケース
上記の③における「その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があるとき」に該当する代表的な類型として以下のようなケースがあります。
許可の事情有と認められるケース
- 日本人特別永住者永住者定住者と法的に婚姻が成立しており、信ぴょう性の立証が十分になされている
- 在留資格認定証明書交付の処分時に、退去強制後2年以上が経過していること
- 在留資格認定証明書交付の処分時に、離婚後1年以上経過していること
- 入管法70条、71条、72条、73条違反で執行猶予付き有罪判決を受けた後に退去強制なら在留資格認定証明書交付の処分時には執行猶予期間をおおむね経過していること
- 上記以外の罪で懲役・禁錮1年以上の刑を受けた場合は犯罪の軽重に応じた機関の経過と再犯のおそれがないこと。また日本での生活を認めるべき事情の有無も考慮される
出入国在留管理庁Web : 「2019年 上陸特別許可で上陸を許可された例とされなかった例」はこちら
上陸拒否の特例
「上陸拒否の特例」とは、入管法5条1項の上陸拒否事由に該当する事由がある場合でも、法務大臣が法務省令で定めるケースにおいて相当と認めるとき、入国審査官・特別審理官・法務大臣の3ステップの審議を経ず、入国審査官が職権で上陸許可の証印を与えることができる特例をいいます。
上陸拒否の特例が適用されるケース
上陸拒否の特例が適用されるケースは以下のような場合になります。
上陸拒否の特例が
適用されるケース
- 外国人に上陸特別許可、在留資格変更許可、在留期限更新許可、永住許可、在留資格取得許可、再入国許可、在留特別許可を与えた場合
- 難民旅行証明書を交付した場合
- これらに準ずる場合として法務大臣が認める場合であって、当該外国人が在留資格をもって在留している場合
- 外国人に在留資格認定証明書を交付した場合、または外国人が旅券に日本国領事館等の査証(法務大臣との協議を得たものに限るSクリアランス査証)を受けた場合であって、入管法5条1項4号・5号・7号・9号または9号の2に該当する特定事由に該当することになってから相当期間が経過していること、その他特別な理由があると法務大臣が認める場合
これらの上陸拒否の特例が適用される場合には通知書が届きます。
上陸拒否の特例を受けるには事前に入管へ上陸拒否事由に該当することを伝えておく
上陸拒否の特例を受けることを希望する場合、あらかじめ入管に対して自身が上陸拒否事由に該当することを明らかにする必要があります。そのうえで、在留資格認定証明書交付申請(COE)を発行してもらい、査証の発給を受けて空港等の上陸許可申請で上陸拒否の特例の適用を受けます。
ポイントは、人道上の配慮の必要性を訴えることです。
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