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出国猶予期間の付与と出国命令のちがいとは?
出国猶予期間の付与と出国命令のちがいとは?
入管法には強制送還(退去強制)の他にも「出国命令制度」が設けられています。
出国命令制度とは、本来入管法の退去強制事由に該当する不法残留者が、ある一定の要件を満たす場合に適用される制度です。主に5つほど要件が設けられており、代表的な要件としては「出国の意思をもって自ら入管へ出頭した」ことが挙げられます。
不法残留者とは、在留カードなどに記されている許可された在留期限を過ぎても更新や変更など入管法で定められている手続きをせずに、そのまま日本に住み続けている外国人のことをいいます。不法残留者は原則、退去強制事由に該当します。
- 出国の意思をもって自ら入管に出頭
- 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
- 窃盗などの罪で懲役や禁錮の刑を受けていないこと
- 過去に退去強制処分を受けて出国したことがないこと
- 速やかに日本から出国することが確実と見込まれること
この出国命令制度に加えて、もうひとつの類似の制度が、「出国猶予期間の付与」という制度です。
出国猶予期間の付与
出国命令制度が強制送還(退去強制)に関連していたのに対して、「出国猶予期間の付与」は「在留資格取り消し制度」に結び付いている制度です。どのように結びついているのか、以下で見ていきましょう。
在留資格取り消し制度でビザが取り消された後の流れは2種類ある
「在留資格取り消し制度」によって在留資格(ビザ)が取り消された場合の流れには、大きく分けて2種類あります。
行った不正行為の「悪質性が高い場合」と「悪質性が高くない場合」です。
不正の悪質性が高いとき
取り消された理由として、外国人の行った不正の悪質性が高い場合、在留資格が取り消された後、直ちに退去強制の手続きに移ります。
不正の悪質性が高くないとき
これに対し、不正の悪質性が高くない場合、在留資格を取り消す際に、30日を超えない範囲内で出国するために必要な準備期間が指定されます。そして、この期間内に自主的に出国をするという流れになります。
これを「出国猶予期間の付与」といいます。
出国猶予期間の期間内に出国しないと強制送還となるので注意
このように「出国猶予期間の付与」は、不正行為の悪質性が高くないとされるケースのみに適用されます。
30日を超えない範囲で出国のための準備期間を指定され、その期間内に自主的に出国することとなります。
ではもしも、この期間内に出国しなかった場合、どうなるのでしょうか?
仮に指定された期間内に出国しない場合は、通常の退去強制、つまり強制送還の措置が取られることとされていますので注意しましょう。
また同様に、最初に挙げた「出国命令制度」を受けて出国したケースでも再び日本に入国する場合1年間の経過を必要とするペナルティが存在します。
出国命令を受けて出国した場合、出国日~1年間は日本への入国は禁止されます。また、出国命令を受けて出国せず不法残留した場合でも退去強制事由に該当します。
出国猶予期間内の出国は自主的な出国なのでペナルティがない
一方、出国猶予期間内に出国する場合は、「自主的な出国」となるので、退去強制(強制送還)される場合に科されるようなペナルティはありません。
出国猶予期間が付与された場合、一度出国し、再び本国などから在留資格認定証明書交付申請などをして入国する方が、後のことを考えた場合に有益となるでしょう。
この点が出国命令と出国猶予期間の付与とのちがい
出国命令と出国猶予期間の付与のちがいはおおよそ以下のとおりとなります。
出国猶予期間の付与の特徴としては、「自主的な出国」となるので再入国のための禁止期間が出国命令や退去強制などのように科されないという点が取扱いにおいて大きく異なる点でしょう。